小4の夏休みに学校に皆で泊まった。あの日…②
はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
話の続きになります。まずは
小4の夏休みに学校に皆で泊まった。あの日…①を
読んで下さい。
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ホラーブームの到来は、当時の僕らにとってかなり革新的な日々を与えた。
図書室の怖い本を読み漁り、家族に怖い体験談を聞き
それぞれが学校で披露する。
より怖ければ怖い話ができるやつがクラスカーストのトップに立つ。
そんなホラーブームの到来を先生も喜んでいた。
『総合的な学習の時間』では、怖い話の披露会も行われた。
かく言う自分も、図書室の本は全部制覇し
カーストも上位に立ち、自動で怖い話が入ってくる仕組みもできた。
そんな中、恐れていた事態が起きたのはホラーブームから2週間後だった。
至極単純な話で、怖い話が底をつきたのだ。
少しずつ薄れていくホラーブーム。
これじゃいけないと先生が打ち出したのが
『学校に泊まろう企画』だ。
「そうですか。それはいい企画かもしれないね」
校長と仲の良かった僕は、すぐさまその件を報告した。
「ほんまに楽しみです!僕は親がお泊りとかを許可してないので」
「そもそも友達の家に泊まりに行くのは禁止だよ?」
わははと、校長と僕は笑った。
「しかし…気になるのは学校の七不思議に関してですね」
「何言ってるんですか校長先生!あれはテレビや本の中の話でしょ?」
「そうだね。私もそうだと思っていたよ。あの時までは」
そういうと、僕の正面に座りなおして、校長は続けた。
「あれは、まだ私がこの学校の生徒だった時の話だ」
* * *
1960年代。私が小学生の時代も、怖い話やその体験談は豊富にあった。
中でも多かったのは度胸試しだ。今でいうところの肝試しのようなものだね。
お墓を一周して帰ってくる。壊れた家に入って探検する。
当時は廃墟の窓ガラスを割って入るのなんて当たり前だったからね。
そんなこともしていたよ。
そんなヤンチャ時代に一番の度胸試しだという事で、校舎に忍び込む輩たちが現れたんだ。
薄暗い校舎の中をただひたすら歩きまわるというのは、考えただけでもぞっとする行為だ。最初に思い付いた奴は相当な肝っ魂を持った輩だったんだろう。
しかし、この度胸試しを無事終えて帰ってこれる輩は、誰一人としていなかった。
やはり学校という場所は、どうしても霊障が起きてしまうのかもしれないね。
当時はまだ七不思議という言葉は使わていなかったから
私たちは『学校の怪談話』として、この体験談を仲間内で共有して
噂の真相を検証していった。
小4の夏休みに学校に皆で泊まった。あの日…③に続きます。